行動経済学とマーケティングを繋げる『人を動かす行動経済学26の切り口 TRIGGER』楠本和矢
『人を動かす行動経済学26の切り口 TRIGGER』楠本和矢
「今までで一番使える行動経済学の本」、
ということで、マーケティングに興味がある人間は必読の本です。
著者も本のなかで言っていますが、
行動経済学はまだあまり体系だった学問になっておらず、
「こういう実験を行ったら、こういうことがわかりました」
ということが散発的に発表されているだけで、筋道だてて学ぶことが難しいです。
比較的歴史の浅い学問なので仕方ないですが。
もともと、主流派経済学が前提としている
「人間は合理的に行動する」
という絶対的な考え(もはや宗教)を否定すべく、心理学的アプローチを使って生まれたものなので、
マーケティングのために出来たものではないです。
そのため、
行動経済学自体の内容は、マーケティングにとって非常に魅力的ではありますが、
実践するとなると、
少なからず学問と実務に溝があるのは事実。
この本では、その溝を埋めるべく、
26の切り口で、
例を挙げながら行動経済学の理論を実務に落としこんでいる、
類書があまりない本です。
行動経済学の理論については、
前半にサラッと書いてあるだけで、
後は実践です。
正直、行動経済学の本は実験の流れや詳細にかなりページを割いているので、
確かに結果と理論だけ確認するならこの本の内容で十分だなと思いました。
私は行動経済学自体が結構興味あるのでダニエル・カーネマンやリチャード・セイラーの本は読んだりしますが、
興味がある人は読んだら勉強になるって感じです。
最後に実際の戦略シミュレーションもされているので、
マーケティング担当やセールス担当、戦略レベルで役に立つ良書です。