マーケティングを学ぶ!書籍・検定・レビュー

マーケティングを勉強中。アラサー出版社勤務のブログ。

マーケティングの限界と脳科学的考察『ブラックマーケティング 賢い人でも、脳は簡単にだまされる』中野信子 鳥山正博

『ブラックマーケティング』賢い人でも、脳は簡単にだまされる』

中野信子 鳥山正博


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内容

「送料無料」で得をした気になってはいけない。愛情や帰属意識を利用する「オキシトシン商法」とは?ギャンブル依存や悪徳商法にハマらないためのナレッジ。

 

 

 

従来のマーケティング論を

「よいこのマーケティング

と名付け、

 

規範的、まっとうなマーケティングの考え方の限界を脳科学的に考察する本。

 

マーケティングの専門家である鳥山正博氏と、

テレビでもおなじみの脳科学者の中野信子氏の対談というかたちで論じている。

 

例えば、

悪徳商法』や、ひとりで何枚もCDを買うAKB商法など、

マーケティングでは説明しづらい現象を脳科学的に補完する内容で、

読み物として面白い。

 

行動経済学や心理学の実験や、

脳科学の説明を紹介していて面白い。

 

S セグメンテーション

T ターゲティング

P ポジショニング

 

だけでは割りきれない消費者の行動を、

脳科学や心理学で解き明かせるのでは?

 

従来は現場のカリスマやデザイナーの感性に任せていたものも体系化できるのでは?

 

 

などなど面白い視点に溢れています。

 

 

マーケティングを、学ぶのは大切ですが、

大企業の要請によって発展してきた理論体系であることも理解し、

限界も考えながら学ぶことで、

より実践に近くなるのでは?と考えさせられた内容でした。

科学×マーケティング 『潜在意識マーケティング 6つの心理戦略』

『潜在意識マーケティング 6つの心理戦略』

フィル・バーデン


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行動経済学脳科学、心理学部など、

人間行動を考察する学問をマーケティングに応用する方法を提案する書籍。独学で

 

特に行動経済学ダニエル・カーネマンの研究である、

システム1、システム2という、人間の脳の働きを応用した手法が多く紹介されています。

 

判断の方法、

顧客との接触機会の生かし方、

意思決定の科学的考察、

原動力、

インターフェース、

広告とポジショニング、

 

6つの観点から解説。

 

 

ダイレクト出版は、

「埋もれた洋書を翻訳してお届けする」

のがコンセプトなので

 

そりゃ、埋もれるかという感じの本もあるんですが、

この本は当たりです。

 

多少、外国の実例がわかりづらいとこもありますが、

 

科学的な手法を実務に生かしたいと思うならオススメです。

失敗とは?どう向き合うか『失敗の科学』マシュー・サイド

『失敗の科学』マシュー・サイド


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マーケティングとは直接関係がないですが、

とにかく良い本だったので書いてみます。

 

「失敗」について、とことん科学的に向き合い、考察し尽くした本です。

 

「失敗から学ぶ」、「失敗は成功につながる」などなど、

ありきたりっちゃありきたりで、

 

タイトルを見て

「あー、ハイハイ、失敗から学びましょう的なやつね」

と思いました。

 

しかし、読み進めてみると、

「これは本格的だ!」

と180度考えが変わりました。

 

そういうタイトルの自己啓発本や経営者の自伝は巷に溢れていますが、

 

ここまで、科学的に、論理的に考察した本は少ないのではないかと思います。

 

 

なぜ、失敗を受け入れられないのか、

失敗を生かすことでどんな効果があるのか、

失敗をビジネスにどう生かすのか、

失敗を責めることでどんな損が起こるのか、

 

などなど、ちゃんとエビデンスに基づいて論じています。

 

理屈を欲しがる人間にはうってつけの内容。

 

 

1番失敗を生かすことができている業界、

航空業界の事例や、

早食いチャンピオンの小林尊

サッカーのベッカム

などなど、事例がまず面白い。

 

その反面として挙げられる失敗例が、

医療業界、

警察、

社会科学(特に経済学)

特に経済学者の反省のしないところは目に余る。

 

納得のいく事例ばかり。

また、事例もドラマチックでおもしろく、

心に残る内容。

 

 

行動経済学、心理学、経営学などの理論を取り入れながら、

実践的な現場の取り組みも評価しているので身近に学べます。

 

 

確証バイアス、気質効果、講釈の誤り、

ランダム化比較実験など、

勉強になることばかり。

 

 

明日から自らのビジネスに取り入れたくなる、叡智のかたまりみたいな素晴らしい本。

 

全てのビジネスマンに勧めたい本です。

 

内容

だから人は、同じ過ちを繰り返す――。
英タイムズも絶賛! 22カ国刊行の世界的ベストセラー、ついに日本上陸!

なぜ、「10人に1人が医療ミス」の実態は改善されないのか?
なぜ、燃料切れで墜落したパイロットは警告を「無視」したのか?
なぜ、検察はDNA鑑定で無実でも「有罪」と言い張るのか?
オックスフォード大を首席で卒業した異才のジャーナリストが、
医療業界、航空業界、グローバル企業、プロスポーツリームなど、あらゆる業界を横断し、失敗の構造を解き明かす!

 

ビジネスマンの必須教養『統計学見るだけノート』 永野裕之 監修

統計学見るだけノート』永野裕之 監修


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マーケティング調査で役に立ち、情報技術の発展によって注目される統計学の超入門。

 

"見るだけノート"は人気シリーズで、

マーケティング見るだけノート』

も出版されています。

 

マーケティング版も最新の理論や実戦的なものもあって良かったですが、

こういう統計学みたいな小難しいものの方がこのシリーズの本領発揮している気がしますのでオススメです。

 

私のような数学オンチでも分かりやすく説明されています。

それでもなかなか手強かったですが…

 

 

本のなかにも記述がありましたが、

実際の計算はExcelみたいなソフトでできるので、

計算式や概念がどういう仕組みで求められているのか

知っているのと知らないのでは理解が、全然変わってくると思います。

 

うっすらでも知っておくとマーケティングにせよ戦略全般にせよ役に立つことは間違いないと思います。

 

標準偏差相関係数ヒストグラム

などなど、なんとなくわかったような気になっていたものが、

ちゃんと理解できて、タメになります。

 

本気で学ぼうとすれば、膨大な労力と時間がかかると思うので、

この本で触れられることは本当にさわり程度だと思いますが読んで良かったです。

 

 

統計学の用語などなんとなく聞いたことあるけど、よく分からないという人はうってつけの本です。

 

人を動かすアイデアの作り方 『仕掛額』 松村真宏

人を動かすアイデアのつくり方 『仕掛学』

松村真宏     大阪大学大学院 講師

 


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イデア論の世界的ベストセラー、W・ヤングの『アイデアの作り方』の雰囲気を持つ、

良書です。

スタンフォードの授業でも扱われているそうです。

 

人が「ついしたくなる」仕掛けをつくるためにはどうしたらいいか?

 

事例とともに一般向けに易しく、短く書かれていますが、内容は濃い。

事例も面白いので、アマゾンの商品ページで紹介されてますので、まず見てみると興味が湧くと思います。

 

仕掛けの便益と負担の関係、

仕掛けの原理の分類と考察

仕掛けの発想方法

 

短い文章にこれだけわかりやすく凝縮している本はなかなかない。

 

商業的な用途向けに書かれたわけではないですが、

 

使いやすい・心地よい商品デザインの開発、

効果的なプロモーション

など、広い用途で使える汎用性の高い知識になること間違いないです。

 

 

 

 

 

アンケートで利益UP!『「A4」1枚アンケートで利益を5倍にする方法』岡本達彦

『「A4」1枚アンケートで利益を5倍にする方法』岡本達彦


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A41枚、お客様の声を集めて広告媒体に落とし込むメソッドをまとめた本。

 

著者の岡本氏はアンケートを使ってお客様の声を効率的に集める手法では実績や評価がピカイチです。

 

アンケートを使う理由として、

・内部からの意見では強みはわからない

・顧客の声を広告に入れ込むことで費用対効果をあげる

・購入プロセスの可視化

 

などを、挙げていますが

確かに効果的で、営業マンが聞き取るよりはバラツキがなく効率的。

「顧客のニーズを聞き出せ」

と簡単に言うけど結構難しい。

 

簡単なフォーマットを用意しているので、

すぐに真似ができ、やってみる価値はある上に、ハードルも高くない。

 

 

その上でDMなど広告媒体への落とし込みかた、フォーマットも紹介されているので実戦的。

 

事例も豊富で分かりやすい。

アンケートの回収率UPのアドバイスがあれば更に嬉しいなとは思いましたが、

実戦的でハードルが低いのでやりやすそうです。

 

セールス、マーケティング担当者には大いに参考になる一冊だと思います。

 

行動経済学の名著『ファスト&スロー あなたの意思はどのように決まるか』ダニエル・カーネマン

ダニエル・カーネマン

『ファスト&スロー あなたの意思はどのように決まるか』


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ノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマンが一般向けに書いた、行動経済学の名著。

 

どちらかといえば学術的で、取っ付きにくい感じはしますが、平易に書かれていて、

ちょっと長いですが難しくはないです。

 

要約や中身のことは扱っているサイトも多いので割愛します。

 

この本はマーケティングやセールスの本で引用される項目も多いのですが、

 

“ちゃんと引用している”本は少ないです。

 

なので一度、原典であるこの本を読む価値は高いです。

 

例えば、この本のメインではないですが、

有名で営業の本によく引用されるものに、

「単純接触効果」

というのがありますが、

正しく引用していない本が多い。

 

よく、

「お客様に会えば会うほどセールスの成功率は上がる」

これが単純接触効果だと言っていることを聞きますが、

 

実際は、

「人間の本能として、何度会っても自分に害はなかった、もしくは得をしたと思った場合に限って安心し、好感を持つ」

というのが正しい。

 

会えばいいってもんじゃないんです。

良くないセールスが何回来ても嫌なもんは嫌

それよりもちゃんとした振る舞いや話し方を身に付ける方が大事。

 

 

こういったちゃんとした知識を身に付けるために、学者が書いた本は読むべき。

研究によって科学的に実証済みなので信頼性は高い。

 

手っ取り早く、伝説のマーケターやセールスの本を読むのもとても良いんですが、

たまにはこういう本も読むべきだと思います。