最高峰の実践マーケティング 『もうモノは売らない 「恋をさせる」マーケティングが人を動かす』ハビエル・サンチェス・ラメラス
『もうモノは売らない 「恋をさせる」マーケティングが人を動かす』
ハビエル・サンチェス・ラメラス
内容
人々が欲しがっているものを与えることではなく、狙いどおりに感じてもらうことが重要だ。製品の何をアピールすべきか。アイデアはどこから得るべきか。広告は誰に向けるべきか。広告はどこに出すべきか。消費者調査ではどう質問すべきか。元「コカ・コーラ」全世界統括マーケティング・ディレクターが見出した、95%が間違う世界で確実に結果を出す方法。
実践的なマーケティングについてまとめた本。
タイトルの「恋をさせる~」からは想像し難い、実際の事例や理論を交えた多少硬派な内容です。
内容のコアメッセージとしては、
「感情に訴える」マーケティング戦略、ブランド構築になりますが、
その他にも、
マーケティング組織の運営、
最新のメディア戦略
効果的なマーケティングリサーチの実践方法
価値と価格の戦略
など、マーケティング全体を見渡すものになっています。
多少、マーケティング用語的なものも当然のように使われているので、
適宜調べるか、多少の知識がある方が理解しやすいです。
マーケティングリサーチに関しては、
感情に対して問いかけることが重要で、
実際の例をあげて説明しているところはとても役に立ちそうです。
ヘンリー・フォードの言葉、
「顧客にどんなものがほしいかと尋ねていたら、速く走れる馬だと答えただろうね」
を引用して説明しているように、
消費者にインサイトを求めることの危険性についての記述は、改めて気づかされる部分が多かったです。
また、ブランド戦略において、どこの世代をターゲットにすれば長期的なリターンの増加やブランド老化を防げるだろうかという説明は、
聞いてみれば当たり前ですが、気づきに満ちた深い洞察に触れることができます。
結局のところ生涯顧客価値を考えれば、若い層にアピールすることで長期的なリターンは最大になるということだと思います。
実際の実務や、マーケティングマネジメントに関わってきた著者だからこそ、
よくあるプロモーションに偏った本ではなく、
全体を見渡し、マーケティングを成功させる方法をまとめることに成功している良書だと思います。