PRってちゃんと説明できますか? 『戦略PR 世の中を動かす新しい6つの法則 』本田哲也
『戦略PR 世の中を動かす新しい6つの法則』本田哲也
近年注目を浴びている、「PR」について
フレームワークを提供する解説書。
そもそも、
日本人にとって「PR」はなんとも捉えづらい概念で、
広告やセールス、パブリシティ、広報、またはアピールすることなど、微妙に概念が理解されていない分野だと思います。
まず、
戦略PRとは「空気づくり」であるという
出発点から、
PRの概念、効果的な方法が、
分かりやすく紹介されています。
第1章に、広告とPRの違い、
・広告を買うか買わないか
・信頼性が高いか低いか
・コントロールしやすいかどうか
について基本的な解説されていますが、これですらなかなか知られていないと思います。
また、戦略PRの手段と目的についても、
パブリシティ→パーセプションチェンジ
→ビヘイビアチェンジ
と簡単に解説されています。
それで、タイトルにもある、
6つのフレームワークについては
「おおやけ」
「ばったり」
「おすみつき」
「そもそも」
「しみじみ」
「かけてとく」
と日本人に感覚的に分かりやすく、
事例も踏まえながら解説されています。
読みやすく、面白いので
何かしら興味があれば読んで損はない良書です!
内容
なぜ、インドで洗濯洗剤「アリエール」が広まったのか?なぜ、「片づけの魔法」は米国でベストセラーとなったのか?インスタグラマーはどれだけ影響力を持っているのか?「空気づくり」の戦略的手法を、国内外の最新事例に学ぶ。従来の社会常識に挑み、「買う理由」をつくりだす6つの黄金律。
ビジネスマン必見の思考法 『トップ1%の人だけが実践している思考の法則』永田豊志
『トップ1%の人だけが実践している思考の法則』永田豊志
有名企業の知られざるケーススタディ18例をもとに、あらゆる業種・職種でイノベーションを起こすスキル伝授。
思考法についての本ですが、
内容はかなりマーケティングに関連するものが多かったので、
マーケターやそれに近い能力を必要とされる人にとって役立つ本です。
ちょっとひと昔前という感じはありますが、
有名企業の事例と、
成功の思考法+戦略思考法、フレームワークを平易にまとめられていて、
事例で学ぶ系の本のなかではかなり上手くまとめられていて分かりやすい。
事例から学ぶ成功への思考法は大変勉強になりますし、
関連づけられているフレームワークは王道で、マーケティングやマネジメントをちょっとでもかじっていたら聞いたことはある、
もしくはよく知っているモノばかりだと思います。
例えばPPM、オズボーンのチェックリスト、PLC、ロングテール、パレートの法則、EDLP、などなど。
あまりよく分かっていない人には事例をからめてわかりわすいですし、
知っているひとにも、事例をからめて学ぶことで、
自分のビジネスに落としこみやすくなるとちうメリットがあると思います。
読みやすいですし一読の価値ありです。
行動経済学とマーケティングを繋げる『人を動かす行動経済学26の切り口 TRIGGER』楠本和矢
『人を動かす行動経済学26の切り口 TRIGGER』楠本和矢
「今までで一番使える行動経済学の本」、
ということで、マーケティングに興味がある人間は必読の本です。
著者も本のなかで言っていますが、
行動経済学はまだあまり体系だった学問になっておらず、
「こういう実験を行ったら、こういうことがわかりました」
ということが散発的に発表されているだけで、筋道だてて学ぶことが難しいです。
比較的歴史の浅い学問なので仕方ないですが。
もともと、主流派経済学が前提としている
「人間は合理的に行動する」
という絶対的な考え(もはや宗教)を否定すべく、心理学的アプローチを使って生まれたものなので、
マーケティングのために出来たものではないです。
そのため、
行動経済学自体の内容は、マーケティングにとって非常に魅力的ではありますが、
実践するとなると、
少なからず学問と実務に溝があるのは事実。
この本では、その溝を埋めるべく、
26の切り口で、
例を挙げながら行動経済学の理論を実務に落としこんでいる、
類書があまりない本です。
行動経済学の理論については、
前半にサラッと書いてあるだけで、
後は実践です。
正直、行動経済学の本は実験の流れや詳細にかなりページを割いているので、
確かに結果と理論だけ確認するならこの本の内容で十分だなと思いました。
私は行動経済学自体が結構興味あるのでダニエル・カーネマンやリチャード・セイラーの本は読んだりしますが、
興味がある人は読んだら勉強になるって感じです。
最後に実際の戦略シミュレーションもされているので、
マーケティング担当やセールス担当、戦略レベルで役に立つ良書です。
気づく力とアイデア『アイデア量産の思考法』松本健太郎
アイデアに関する書籍は人気があり、
有名なジェームズ・W・ヤングの、
『アイデアのつくり方』
などが最近は注目されていますが、
それだけ、自由自在にアイデアを生み出したいというニーズは職種やライフスタイルを超えて存在するものなんだと思います。
やはり、マーケティングにおいても
アイデアは大切。
この『アイデア量産の思考法』では、
著者のグループが行った定性調査を例に、
そこから得られる気付きやアイデアの提案まで紹介しています。
やはり、この本から得られるのは、
人を根気強く観察すること、
違和感やなんで?という気持ちを常に持ちながら仕事や生活をしていくことの大切さだと思います。
ユニークな消費者行動を14種類のカテゴリーで100個もイラストつきで紹介されていますが、
そのなかで自分の仕事や生活においてのアイデアのヒントになるものもあるでしょうし、
なによりも気づく力や、アイデアに転換する力を身につけることに役立つ本だと思います。
松本健太郎氏の著作は毎回ポップで親しみやすく、それでいて本格的な内容が多いのでオススメ本です。
内容
のべ20万人以上の市場調査を実施。100人の日常風景から「消費者の隠れた心理」を見抜く。ニーズが見えない時代の新しいマーケティング発想法。
戦術vs戦略,エキスパートvsゼネラリスト『ボトムアップ・マーケティング戦略』アル・ライズ、ジャック・トラウト
アル・ライズ、ジャック・トラウト
米国のマーケティング大家の二人による著作。
ポジショニングの重要性についての訴えが有名な二人ですが、
この本では、マーケティングの戦術、戦略について、丸山謙治氏による日本での事例も交えて学べる内容の濃い一冊
15章ありますが、
特に重要なところは
1章 戦術が戦略を決める
2章 現場に出向く
4章 焦点を絞る
7章 変更を加える
などでしょうか。
個人的に響いたところとも言えますが。
とかく企業はゼネラリストになりたがる癖がありますが、
この本の言うとおり、商品ラインを増やせば増やすほどブランド価値が毀損されていくのが分かります。
引き算の勇気、絞る勇気、戦場を変える勇気、
そして、間違いがちな上層部に歯向かう勇気を得られる一冊だと思います。
内容
著者の二人は『ポジショニング戦略』や『マーケティング22の法則』など日本でもロングセラー書でおなじみの世界的なマーケターです。
その二人が、『ポジショニング戦略』『マーケティング戦争』に続いて書いたのが本書です。
「現場主義」を徹底的に追求したマーケティング手法は、競争戦略に疲れを覚えた現代のマーケターたちに、目からうろこのヒントを提供してくれます。
マーケティングの限界と脳科学的考察『ブラックマーケティング 賢い人でも、脳は簡単にだまされる』中野信子 鳥山正博
『ブラックマーケティング』賢い人でも、脳は簡単にだまされる』
中野信子 鳥山正博
内容
「送料無料」で得をした気になってはいけない。愛情や帰属意識を利用する「オキシトシン商法」とは?ギャンブル依存や悪徳商法にハマらないためのナレッジ。
従来のマーケティング論を
「よいこのマーケティング」
と名付け、
規範的、まっとうなマーケティングの考え方の限界を脳科学的に考察する本。
マーケティングの専門家である鳥山正博氏と、
テレビでもおなじみの脳科学者の中野信子氏の対談というかたちで論じている。
例えば、
『悪徳商法』や、ひとりで何枚もCDを買うAKB商法など、
マーケティングでは説明しづらい現象を脳科学的に補完する内容で、
読み物として面白い。
行動経済学や心理学の実験や、
脳科学の説明を紹介していて面白い。
S セグメンテーション
T ターゲティング
P ポジショニング
だけでは割りきれない消費者の行動を、
脳科学や心理学で解き明かせるのでは?
従来は現場のカリスマやデザイナーの感性に任せていたものも体系化できるのでは?
などなど面白い視点に溢れています。
マーケティングを、学ぶのは大切ですが、
大企業の要請によって発展してきた理論体系であることも理解し、
限界も考えながら学ぶことで、
より実践に近くなるのでは?と考えさせられた内容でした。
科学×マーケティング 『潜在意識マーケティング 6つの心理戦略』
『潜在意識マーケティング 6つの心理戦略』
フィル・バーデン
人間行動を考察する学問をマーケティングに応用する方法を提案する書籍。独学で
特に行動経済学のダニエル・カーネマンの研究である、
システム1、システム2という、人間の脳の働きを応用した手法が多く紹介されています。
判断の方法、
顧客との接触機会の生かし方、
意思決定の科学的考察、
原動力、
インターフェース、
広告とポジショニング、
6つの観点から解説。
ダイレクト出版は、
「埋もれた洋書を翻訳してお届けする」
のがコンセプトなので
そりゃ、埋もれるかという感じの本もあるんですが、
この本は当たりです。
多少、外国の実例がわかりづらいとこもありますが、
科学的な手法を実務に生かしたいと思うならオススメです。